マオリ 入れ墨入浴拒否事件に関して [留学]

柴原先生、通翻のみなさん


連続メール失礼します。ニュージーランドから松崎です。

今回はニュージーランド関連のニュースを紹介するためにメールをしました。

このニュースがどれくらい日本で大きく取り上げられたのかは分かりませんが、おそらく多くの方がすでにご存知だと思います。

学会に出席するために北海道を訪れたニュージーランドの先住民族マオリの女性が、マオリの伝統的な入れ墨(Moko)を理由に温泉での入浴を拒否されたというニュースです。

英語、そして日本語両方の記事のリンクです。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/491172.html

http://www.japantimes.co.jp/news/2013/09/14/national/tattooed-maori-barred-by-bath-in-hokkaido/#.UjXxE7zrZPM

http://mainichi.jp/english/english/newsselect/news/20130913p2a00m0na018000c.html

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130913/k10014520861000.html

今回の記事について、考えさせられることがあったので、ワードにまとめました。

外国語、そしてコミュニケーションを学ぶ私たちにとって、今回の問題はじっくりと考えるべきものだと思ったので、多少長いですが、少し時間を取って読んで頂けると嬉しいです。

そして、みなさんの意見もシェアしてもらえればとても幸せです。

松崎


***

初めてこのニュースを目にした時、とても悲しい気持ちになり、facebookで今回の記事をシェアして、自分の意見も載せました。すると、予想以上に多くの友人(日本、ニュージーランドなど色々な国の友人)がコメントを残してくれて、それを読んで更に考えさせられました。

まず、以下が私の投稿になります。

I’m really sad and angry to know the news that a Maori woman was refused to enter a Japanese public bath in Hokkaido because of Maori tattoo on her face. The news said that the Maori woman visited Japan, Hokkaido (North Island) to attend a lecture about Ainu language revival as a lecturer. After the lecture, 10 officials including her visited the Ainu museum and the public bath, however, she was refused to enter the public bath because of the tattoo on her face. In Japan, most public baths have signs, which say “No tattoos” and refuse entry of people who have tattoos. This is because tattoos in Japanese are associated with yakuza (Japanese gangster). Maori tattoos (Ta Moko), however, are totally different from what Japanese people think tattoos are. Maori tattoos show people's identity, family trees and social standings. The operator of the public bath argued that they have the sign, which says “No tattoos and drunken people” and they refuse anyone who have tattoos and who are drunken. They also insisted that they would like wide variety of customers to enjoy their bath but some people would be offended by tattoos. In the interview by NHK, she said that for her, Moko (tattoo) is similar to a family crest in Japanese kimono and that it’s important to understand that there are many people who have tattoos like her as their customs or traditions in the world. I’m really sorry about this happened on behalf of one Japanese. To be honest, before I came to NZ and knew about Maori Moko, I had no idea that Moko has very important meaning in Maori culture, and when I first saw Moko I was a bit surprised but now I really respect Maori culture and think its very amazing culture. I do understand that for some Japanese people who don’t know other culture (especially Maori culture), it could be a little surprise or maybe fearful, but I think they should not refuse the entry just because of Moko. From some news articles I’ve read about this issue, I can see two problems. One is that the operator of the public bath didn’t show respect to Maori culture. The other is the intercultural incompetence of the host of the Ainu event. The host knew that ten people from NZ (Maori) were coming and they would visit the public bath, so they should have told the operator of the public bath in advance about it so that the Maori people could enter the public bath. Or they could find another public bath for them before hand. I’m really sad and disappointed by this news. Japan has been officially chosen as the host country of the Olympics in 2020 so there will be higher possibility of more foreigners coming to Japan and enjoy public baths. So I guess it’s time for Japan to be more open and understand other cultures.

すごく悲しいニュースを見つけました。復興のイベントの講師として北海道に招かれていたニュージーランドの先住民、マオリの女性が、マオリの伝統的なモコ(入れ墨)を理由に温泉の入浴を拒否されたそうです。日本では入れ墨はやくざとの結びつきがあるというイメージから、温泉や銭湯にはよく“入れ墨の方の入場はお断り”と書いてあります。しかし、マオリのモコは日本人がイメージする入れ墨とは全く違うのです。マオリの人にとって、モコは伝統的文化に基づいた、その人のアイデンティティー、家系、社会的地位を表すものなのです。そのマオリの女性がNHKのインタビューで次のように言っていました。—わたしたちマオリにとってモコは、日本人にとっての着物の家紋のようなものです、世界にはわたしたちのように伝統や習慣として入れ墨をもつ文化があるということを理解するのも大切なのではないでしょうか。正直、わたしもニュージーランドに来る前はマオリのモコについてよく知りませんでしたし、初めて顔全体や体全体のマオリの入れ墨を見たときはすこし驚きました。でも、今では博物館に行ったり、マオリのイベントに参加したりしてマオリについて知るようになって、すごく素敵な文化だなと思ってます。もちろん、マオリ文化を知らない日本人の中には、モコを見て驚いたり、少し怖い印象を持ってしまう人がいるかもしれませんが、だからといって入浴を拒否して言い訳ではないと思います。入浴を拒否した温泉側に問題があるのも確かですが、アイヌのイベントを主催した側も、もう少し配慮が必要だったのではないかと思います。10人ものマオリ関係者がイベントで来日し、観光をすることが事前に分かっていたのなら、前もって温泉側に連絡をして入店を拒否されることがないようにすることや、他の温泉を見つけておくことだって出来たはずです。2020年の東京オリンピックの際には世界中から、日本とは異なる色々な文化を持った外国人が来日すると思います。今回の一件を機に、日本がもっと異文化に敬意を払える、オープンな国になることを本当に願っていますし、自分たちでそういった国にできたらいいなと思っています。

以上がわたしの投稿です。

これを読んでくれた友人の何人かが、コメントをしてくれました。
わたしと同じように、日本はもっとオープンになるべき、日本の入れ墨に対する考え方なども変えていかなければならない、とコメントをしてくれる人もいました。

しかし、中にはわたしと違った観点から今回のニュースを捉えた友人もいました。わたしは「マオリの入れ墨は日本人がもっている入れ墨のイメージとは全く異なるものだから、それを理由に入浴を拒否するのはどうかと思う」という意見でしたが、「入れ墨をしている人は通常温泉に入れない」という日本の慣習も同じく文化である、マオリの女性は日本に来ているのだから、その慣習に従うべきである、という意見も聞くことができました。また、今回のようにマオリの女性を例外として入浴させてしまうと、その後の線引きが出来なくなってしまう、そもそも、どんな入れ墨が“文化的なもの”なのかという概念も難しい、という意見もありました。1つ、確かにそうだな、と思ったのが、マオリの入れ墨は文化的なものであるが、もし“I love my mom”などと言ったポジティブな意味の入れ墨をしている人の場合はどうなのか?という意見でした。

友人からの色々な意見を聞いて改めて考えてみると、「温泉側はもっとマオリ文化を尊重するべきで、入浴を拒否したのはどうかと思う」というわたしの最初の考えは少し偏っていたのだなと思いました。

日本がいい意味でもっと異文化にオープンになっていくとこは必要だと思います。一番大切なのは、文化の異なる人々が、このような問題に直面した時に、どうしたらお互いの文化を尊重して、お互いが嫌な思いをせずに済むのかを考え、お互いに歩み寄ることだと感じました。そして、そういった解決策を見つけて行くことが、英語、異文化を学ぶわたしたちの役割なのではないかなと思います。

ニュージーランドに留学して、Intercultural competenceという異文化コミュニケーションの授業を前期、そして後期も取っています。その授業の中で、異文化コミュニケーションを学んでいますが、本当に異文化理解というのは難しいのだなと感じています。ですが、今回のマオリのニュースは日本人、そして私たち異文化コミュニケーションを学ぶ学生にとって、異文化理解とは何かを考えるとてもいい機会になったと思います。

もっと多くの人の意見を聞きたいと思ったので、Intercultural competenceの教授に今回のニュースを授業で取り上げてもらえないか頼んでみました。なので、もしかしたら今週、来週あたりの授業でクラスメイト、そして教授から色々な意見が聞けるかもしれません。もし聞けたら、またレポートにまとめるなどしてみなさんとシェアできればと思っています。

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