通訳を行なうにあたっての心構え [コラム]

卒業生であり、昨年の名古屋外語大の通訳コンテストで全国3位に入賞した小野尾君が、「通訳を行なうにあたっての心構え」を通翻課程MLでシェアしてくれました。

だいぶ日程が経ってしまってすみませんが、これもブログでさらにシェアします。私の伝えたことを実によく理解している一方で、小野尾君独自の工夫も随所に見られる、非常に良い指針だと思います。これぞ出藍の誉れですね。

小野尾君は先日、実際に通訳を行なう機会があって、大分もまれたようです。いろいろあると思いますが、通訳を取り巻く環境自体が刻々と厳しいものになっているのは間違いありません。

しかし、大切なものはそうは変化しないものです。みんなで一緒に頑張りましょう。

柴原 智幸

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みなさんこんばんは。
小野尾です。

今日は諸事情で書いた「通訳の心構え」を皆さんにシェアしたいと思います。

通訳をこれから勉強する学生向けに、簡潔に書いたものです。

短いので、もし何かあればレスポンスいただけるとありがたいです!

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「通訳を行うにあたっての心構え」

1 通訳とは

オリジナルのメッセージを正確にくみ取り、それを別の言語で効果的に再表現すること

・英語と日本語の通訳の場合、「オリジナルのメッセージ」と「別の言語」が日本語⇔英語になる。

・「正確にくみ取る」とは「正しく理解する」ことである。

・「効果的に」は「わかりやすく」になる。

・「再表現する」とあるが、通訳は言語の置き換えではないので、「再表現」という言葉を使っている。

2 「お役に立てるか」がポイント

・通訳はサービス業であるため、「人のお役に立つ」ことをしっかりと考えていかなければならない。

3 堂々と通訳する

・一番大切なことは、声を大きくはっきりと出すことである。ボソボソ話すのは厳禁。

・自信を持つことが大事である。センテンスの最後を?の形で終わらせない。自分の通訳が聴衆にとってスピーカーの発言を理解する唯一のものだということを理解する。自信なさげに通訳をすると、聴衆が不安になりスピーカー・オーディエンス間のコミュニケーションを妨げてしまう。
→「通訳者はコミュニケーションの架け橋」

5 ノイズを入れない

・通訳をする前、もしくは通訳の間に「あ~」などのノイズをできるだけ入れないようにする。
→聴衆にスピーカーが話している内容が伝わりにくくなってしまうため

6 くだけた表現・省略語を使わない

・英会話の中では、you knowやlike、gonnaなどを使う場合があるが、通訳時は絶対に入れない。

7 「相手が何を言いたいのか」を意識する

・通訳では、細かい箇所も基本通訳をしなくてはいけないが、一番大切なのは「相手が何を言いたいのか」ということである。ワンワードにこだわらず「全体像」を見ること。

8 verbalな部分だけでなく、non-verbalな部分もくみ取る

・先にも述べたが、通訳は言語の置き換えではない。そして「相手が何を言いたいのか」を意識しなくてはならない。したがって、言語的な部分だけでなく、声のトーンや言葉使い、声の大小などにも意識してスピーカーの気持ちをくみ取れるよう意識しながら通訳を行うように心がける。

9 通訳で重要な3つの基礎体力(英語⇔日本語通訳の場合)

日本語力・英語力・知識量

・使用言語である日本語・英語の力が高くなければ通訳はできない。しかし、それだけではなく知識量も非常に大切な部分である。自分の全く知らない分野を日本語もしくは英語で聞いた場合、単語はたとえ全て拾えたとしても内容が頭に入ってこないはずである。内容が自分の頭に入ってこないのに、別の言語でリスナーにわかりやすく伝えることは不可能である。したがって、普段からさまざまな分野の知識を貪欲に吸収し、どんな内容の通訳にも対応できるようにする心構えが大切である。

また、あるスピーチで多少自分の知らない単語がでてきた場合でも、知識があり、内容がわかっている場合は話を予測できるため、言語能力不足を補うことができる。

10 通訳者はピアニスト?

・ピアニストは右手だけ器用でもピアノを弾くことはできない。両手が器用でもピアノはまだ弾けない。両手が器用であり、かつピアノを弾くためのトレーニングをつみ、それを弾くにあたっての心構えを持っているものがピアニストになることができる。したがって、日ごろから日本語力・英語力・知識量の向上を図るとともに、トレーニングを積むこと、さらには「通訳とは」を問い続けることが大切である。

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Dear, Mr. Onoo
T&I fellows

My first impression was that "These 10 points are ‘the basic of basics’".
Each and every one of us has already been taught this by Professor Shibahara, and you may think it’s only a "re-run" of what Professor has told us. I dare say, however, basics are most precious treasure. We must note the 10 advices on our heart firmly and, must go back to the basics anytime.

P.S.
When you find mistakes in my English, do let me know.

Cordially,
Ryuichi Shitara

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Hello, Shitara-kun and T&I members

As you mentioned, it is necessary for us, at some stage, to reconsider and tell what we have learned if we could succeed in corroborating what Professor Shibahara explained.

I have studied interpreting and translating for more than four years, and this time I gained the chance of mentioning my interpreting experiences and the notion of what is interpreting to my friend.

I thought this is a good opportunity to broach the topic of basic notion and share what I am thinking when it comes to interpreting.

Furthermore, explaining something to the amateur is one of the most important and difficult things, so I tried to describe what is interpreting briefly and comprehensibly.

I hope I could get straight to the point and you think my paper is beneficial for the students who have not interpret yet.

Kohei Onoo
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