「日本のジレンマ『“救国”の大学論』 」を見ました [コラム]

実に示唆に富んだ座談会だった。個人的には北川さんの考えに強く共感する。また、税所さんのアイディアにも目を開かされることが多かった。

以下、録画を見ながらとったメモを列挙しておく。

柴原 智幸

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古市さん
→「ステップ」「関門」としての大学の在り方が変わってきた。

松田さん
→(アメリカの大学院は)主体的にやるのが当たり前の場所。理論を学ぶではない。論文を読んできて、どう感じたかを討論する。

北川さん
→海外の大学は、自分の持っている世界観の外に出られる体験をさせてくれる。

税所さん
→大学の授業は面白くないが、授業をエスケープすれば何でもやれる場がある。大学はRPGで言うところの「はじまりのまち」みたいなもの。仲間やバックアップしてくれる先生がいてそこでパーティーを組む。

松田さん
→アメリカの大学は、教授がファシリテーションに徹している。議論が脱線したら、一言で戻してくれる。

北川さん
→留学中は「多様性を強制」された。今までの自分の枠を乗り越えないと先に進めない。

税所さん
→バングラデシュでは、今学生運動真っ盛り。それに比べると日本の大学は落ち着いて学べていい。

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古市さん
→「グローバルな人材」は作れるのか?

税所さん
→大変な場所に一人でポンと放り込んで一からやらせると育つ。

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授業は少ないほうがいい(税所さん)⇔授業でみっちり縛られていた(松田さん、北川さん)

北川さん
→「リベラルアーツ」を学ばされ、理論物理学を専攻していた自分も、芸術の授業を取らされた。嫌だったけれど、行ってみると楽しい。自分の世界観が広がったかけがえのない経験。

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税所さん
→「良い先生」に接していると、自己肯定感が上がる。

北川さん
→確かに高校のころから成績は良かったが、価値基準が違った。楽ができた面はあったと思うが、成績が良いことそのものに価値を見出さなかった。

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・大学の起源

<ヨーロッパ>
知を求める人が集まって自然発生的にできた。

<日本>
国家のための人材養成が目的だった。

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北川さん
→大学は自分のストーリーを作る場所。自分は何を大切にしてどう生きるかを作る場所であり、卒業してから働く会社は、自分のストーリーの上に乗るものでしかない。

日本は会社にストーリーがあり、そこで働く人は自分を変えてでも会社のストーリーに乗る。だから新卒一括採用が成立する。

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北川さん
→自分は変わることができる、今はできないことができるようになるというSelf-efficacy(自己効力感 現状に対して適切な行動をとれる自信のこと)を得るには、自己尊厳が大切。それを高める教育が圧倒的に欠けており、それができれば国民は救われる。

松田さん
→高校生の65%が「自分は価値のない人間だ」と思っている。

財団法人 日本青少年研究所の調べでは、「自分が価値ある人間と思うか?」という質問に、「そう思う」と回答した高校生は35%。

北川さん
→「就職活動は成功しなければならない」という単一の価値観しかメディアが伝えないのが問題。いろんな評価の軸を社会的に取り上げるのが良い。

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MOOCS(Massive Open Online Courses 大規模公開オンライン講座)
→終了認定証があるのが特徴。たとえばCourseraなど。

「知のオープン化」で大学の存在理由が問い直されている。

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DVDを見れば済むなら、大学は不要なのでは?

税所
→DVDだけだとすぐに飽きてしまった。そこで大学に見学に連れ出したり、実際に大学生に面倒を見てもらったりすると変わった。

北川さん
→教育には感情的なタッチが必要。やる気に焦点を当てた教育、やる気の最大化がカギ。

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北川さん
→建前で人生設計をしているから、うまくいかない。

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北川さん
→大学には、「大胆な教育」をやってほしい。新たな価値観などを提言する教育を。

税所さん
→日本の大学が集まって100億ぐらい出し、社会貢献にお金を出すファンドを作ってほしい。そういう援助を受けるような活動をしていたら、大学の単位にもなってほしい
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