通訳・翻訳課程コーディネーターから退きました [コラム]
昨年のちょうど今頃、エイプリル・フールのネタで書いたものを信じた人が多かったので、
http://tsuhon.blog.so-net.ne.jp/2012-03-31-4
ある程度時期を外してから報告いたします。
****************
2013年3月31日をもちまして、柴原は通訳・翻訳課程のコーディネーターを退きました。
2009年に着任して以来、「すべてを学びに」「Learn from everhthing!」をモットーに指導に当たってまいりました。着任当時に、「学びのプロセス自体に価値を見出すよう指導する必要がある」と考えたからです。
「教職課程」は修了すれば教員免許が取得できます。「児童英語教員養成課程」は、民間資格とはいえ、修了証をもらえれば、自宅で児童英語教室を開こうという卒業生は多いでしょうから、大きなプラスになるでしょう。
しかし、本学を卒業して、すぐに通訳者として稼働する学生がそれほど頻繁に出るとも思えませんし、稼働するにしても、通翻課程の修了証では残念ながら教員免許のような効力はないのです。
そうであれば、「学びのプロセス」そのものを学生たちが楽しんで、様々なことを吸収し、その吸収したことを元に自力で判断を下して動いて行けるようになってもらおうと思ったのです。「最強のジェネラリストを養成する」という言い方をしたこともありました。
社会に出れば、「未知の状況に直面し、自分の中の知識と判断力を総動員して状況を切り開いていく」という局面はかなり多く、通翻課程での貪欲な学びは、結果として就職活動においてもプラスになるだろうとも考えていました。
走り出してから4年、学生たちは私の無茶によくついてきてくれたと思います。私としても、「学生のより良き学びのために」と思っていろいろな指導に取り組んできました。
2013年4月より、通訳・翻訳課程は大幅な変更が加えられることになりました。2009年からの終了要件の変化は、以下の通りです。
2009年
1 必修科目・選択科目82単位の習得
2 TOEFL600点以上、TOEIC900点以上、英検1級いずれかの取得
3 通訳・翻訳技能を利用したコミュニティー活動を一定の時間行なう
4 半年から1年の英語圏への留学
5 通訳翻訳課程修了試験合格
2011年
必修科目、選択科目数を82単位から68単位に削減
2013年
1 必修科目、選択科目の合計36単位をすべて習得すること
2 TOEFL600点以上、TOEFL iBT100点以上、TOEIC900点以上、英検1級、IELTS7.0以上のいずれかを取得していること
3 半年から1年の英語圏への留学
高い理想を掲げて走り出した通訳・翻訳課程のコーディネーターとして、よかれと思ったことをやり続けてきたつもりでしたが、振り返ってみれば、もう少し周囲への配慮があれば良かったと思います。
先日読んだ小説の登場人物の言葉に「なるほどな」と思いました。備忘録も兼ねて引用しておきます。
<引用ここから>
「うん、それすごい正論ね。でも正論って面倒くさいのよ」
(中略)
「面倒くさいと思う人に面倒くさがるなって言っても仕方ないし、面倒くさがる人は必ずいるのよ。協力すべきなのにってブツブツ言うより、協力的じゃない人に協力させる方法を考えたほうが建設的じゃない?義理も縁もない他人に何かを頼むとき『協力してくれるべき』とか『してくれるだろう』とか甘い見通し持ってるやつは絶対に失敗するわ。協力って期待するものでも要求するものでもなくて、巧く引き出すものなのよ」
(「図書館戦争」 261ページ)
<引用ここまで>
私は、理想を唱えていれば、自然と賛同は集まるものだと考えていたところがありました。傲慢だったと思います。
これからは本学の一教員として、学生の指導に専念しようと思います。
もちろん、通翻課程の学生諸君から何らかの形で指導の要請があれば、私の出来る限り、全力で応えたいと思っております。
私の好きな映画に「いまを生きる」と「モリー先生との火曜日」があります。ジョン・キーティング先生とモリー・シュワルツ先生は、私にとっての、教師の理想像でした。
理想はなかなか実現できないからこそ、理想なのかもしれません。結局、私はキーティングにもモリーにもなれずじまいでした。拙いなりにベストは尽くしましたが、プロとしてはそれは当たり前のことで、大学側が望む「結果」を出せなかったのでは仕方ありません。
しかし、他人と過去は変えられない、と申します。これからを見据えて、また走り出さねばなりません。
学生たちには、ジョン・キーティング先生の言葉を一部アレンジして(というか、and girlsを付け加えただけですが)、これからもこう呼びかけて行きたいと思います。
"Carpe diem. Seize the day, boys and girls. Make your lives extraordinary."
(「カーペ・ディエム。今を生きるんだ、みんな。型にはまらないで、思い切り生きなさい」)
いくつになっても青臭いことばかり言っておりますが、そういう形でしか成長できない男なのだとご理解いただければ幸いです。
学生諸君、ぜひとも私を使い倒してください。今まで蓄積したものをすべて、君たちに伝えて行きたいと思います。
柴原 智幸
http://tsuhon.blog.so-net.ne.jp/2012-03-31-4
ある程度時期を外してから報告いたします。
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2013年3月31日をもちまして、柴原は通訳・翻訳課程のコーディネーターを退きました。
2009年に着任して以来、「すべてを学びに」「Learn from everhthing!」をモットーに指導に当たってまいりました。着任当時に、「学びのプロセス自体に価値を見出すよう指導する必要がある」と考えたからです。
「教職課程」は修了すれば教員免許が取得できます。「児童英語教員養成課程」は、民間資格とはいえ、修了証をもらえれば、自宅で児童英語教室を開こうという卒業生は多いでしょうから、大きなプラスになるでしょう。
しかし、本学を卒業して、すぐに通訳者として稼働する学生がそれほど頻繁に出るとも思えませんし、稼働するにしても、通翻課程の修了証では残念ながら教員免許のような効力はないのです。
そうであれば、「学びのプロセス」そのものを学生たちが楽しんで、様々なことを吸収し、その吸収したことを元に自力で判断を下して動いて行けるようになってもらおうと思ったのです。「最強のジェネラリストを養成する」という言い方をしたこともありました。
社会に出れば、「未知の状況に直面し、自分の中の知識と判断力を総動員して状況を切り開いていく」という局面はかなり多く、通翻課程での貪欲な学びは、結果として就職活動においてもプラスになるだろうとも考えていました。
走り出してから4年、学生たちは私の無茶によくついてきてくれたと思います。私としても、「学生のより良き学びのために」と思っていろいろな指導に取り組んできました。
2013年4月より、通訳・翻訳課程は大幅な変更が加えられることになりました。2009年からの終了要件の変化は、以下の通りです。
2009年
1 必修科目・選択科目82単位の習得
2 TOEFL600点以上、TOEIC900点以上、英検1級いずれかの取得
3 通訳・翻訳技能を利用したコミュニティー活動を一定の時間行なう
4 半年から1年の英語圏への留学
5 通訳翻訳課程修了試験合格
2011年
必修科目、選択科目数を82単位から68単位に削減
2013年
1 必修科目、選択科目の合計36単位をすべて習得すること
2 TOEFL600点以上、TOEFL iBT100点以上、TOEIC900点以上、英検1級、IELTS7.0以上のいずれかを取得していること
3 半年から1年の英語圏への留学
高い理想を掲げて走り出した通訳・翻訳課程のコーディネーターとして、よかれと思ったことをやり続けてきたつもりでしたが、振り返ってみれば、もう少し周囲への配慮があれば良かったと思います。
先日読んだ小説の登場人物の言葉に「なるほどな」と思いました。備忘録も兼ねて引用しておきます。
<引用ここから>
「うん、それすごい正論ね。でも正論って面倒くさいのよ」
(中略)
「面倒くさいと思う人に面倒くさがるなって言っても仕方ないし、面倒くさがる人は必ずいるのよ。協力すべきなのにってブツブツ言うより、協力的じゃない人に協力させる方法を考えたほうが建設的じゃない?義理も縁もない他人に何かを頼むとき『協力してくれるべき』とか『してくれるだろう』とか甘い見通し持ってるやつは絶対に失敗するわ。協力って期待するものでも要求するものでもなくて、巧く引き出すものなのよ」
(「図書館戦争」 261ページ)
<引用ここまで>
私は、理想を唱えていれば、自然と賛同は集まるものだと考えていたところがありました。傲慢だったと思います。
これからは本学の一教員として、学生の指導に専念しようと思います。
もちろん、通翻課程の学生諸君から何らかの形で指導の要請があれば、私の出来る限り、全力で応えたいと思っております。
私の好きな映画に「いまを生きる」と「モリー先生との火曜日」があります。ジョン・キーティング先生とモリー・シュワルツ先生は、私にとっての、教師の理想像でした。
理想はなかなか実現できないからこそ、理想なのかもしれません。結局、私はキーティングにもモリーにもなれずじまいでした。拙いなりにベストは尽くしましたが、プロとしてはそれは当たり前のことで、大学側が望む「結果」を出せなかったのでは仕方ありません。
しかし、他人と過去は変えられない、と申します。これからを見据えて、また走り出さねばなりません。
学生たちには、ジョン・キーティング先生の言葉を一部アレンジして(というか、and girlsを付け加えただけですが)、これからもこう呼びかけて行きたいと思います。
"Carpe diem. Seize the day, boys and girls. Make your lives extraordinary."
(「カーペ・ディエム。今を生きるんだ、みんな。型にはまらないで、思い切り生きなさい」)
いくつになっても青臭いことばかり言っておりますが、そういう形でしか成長できない男なのだとご理解いただければ幸いです。
学生諸君、ぜひとも私を使い倒してください。今まで蓄積したものをすべて、君たちに伝えて行きたいと思います。
柴原 智幸
2013-04-08 23:27
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