戸田奈津子先生特別講義 [活動紹介]

1月16日の1限の授業で、戸田奈津子先生の特別講義が行われました。

先生が出題された課題に通翻課程生が字幕翻訳を付け、それに対して戸田先生が1人1人コメントを下さるという、何とも贅沢な内容です。

先生が学生の翻訳に対してコメントをしつつ、ふと語られる言葉も、非常に含蓄に富んでおりました。

本来であれば私が詳細にレポートするところですが、仕事の要領が相変わらず悪くバタバタしておりまして、このところブログもろくに更新できないため、当日の写真と学生からのリアクションを中心にエントリをアップロードしておきます。

柴原 智幸

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柴原先生、通翻のみなさん

こんばんは。2年松崎陽香です。
先週の水曜日に行われた戸田先生の特別講義の感想をみなさんとシェアしたいと思います。
今回は授業やテストで講義に参加できなかったみなさんも、この感想を通してシェアできたらいいなと思ったので、時間があったら是非読んでください。

【戸田先生特別講義の感想】
今回の戸田先生の特別講義では、みんなが翻訳したものに戸田先生が1人1人にコメントしてくださるという、とてもありがたいものでした。先生のコメントや映画業界の裏話など、色々お話してくださった中から印象に残っているものをいくつか紹介します。

•色んな意味にとられてしまう翻訳はだめ(誰が読んでも誤解のしようがないように訳す)
これは柴原先生もよくおっしゃっていることですが、誰が読んでも誤解がないような翻訳をすることが重要ということです。例えば、主語を省略して翻訳していた人が何人かいました。そのような翻訳について戸田先生は特に、人称を抜かしてしまうと物語の展開がわからなくなってしまう、とおっしゃっていました。他にも、2つの意味にとらえられないようにするのが大切、映画を見るお客さんが誤解のないように理解できる字幕をつくることが大切ということでした。

•映画の日本語タイトルについて

戸田先生がおっしゃるには、最近は洋画の原題をそのままカタカナ表記にしてタイトルにしてしまうケースが多いそうです。これは、原題とかけ離れた日本語タイトルをつけると、本社の方に、その日本語タイトルを英訳して報告し、承認を受けなくてはいけず、さらに本社の方もなかなか承認してくれないからだということです。戸田先生は、これはとても悲しいことだとおっしゃっていました。お客さんが、なんの映画を見ようかな、と考える時に、多くの人がタイトルを見て決めます。ですが、その肝心のタイトルがカタカナ表記で意味の分からないものだったら、たとえ映画の内容が良くても、お客さんは見ないかもしれません。

お客さんを集めるという点では日本語タイトルは非常に重要であると戸田先生はおっしゃっていました。戸田先生が例として挙げた映画にブラットピット主演の「A River Runs Through It」(原題)というものがあります。この日本語タイトルは、原題をそのままカタカナ表記した「リバー•ランズ•スルー•イット」になっています。(ウィキペディアhttp://ja.wikipedia.org/wiki/リバー・ランズ・スルー・イット)このタイトルにはとても深い意味が込められているのですが…(Wikiより:人々の人生は様々で、楽しい事・悲しい事・苦しい事はあるが、そんな時の流れのなかで、川は変わらぬ姿で流れ続ける(A River Runs Through It)という物語。)原題のタイトルをそのままカタカナ表記にしても、ほとんどの日本人は意味が分からないし、どんな映画かも想像できません。戸田先生も、この映画はとても素晴らしいものだが、タイトルのせいであまり日本ではヒットしなかったので、とても残念だとおっしゃっていました。

確かに、洋画を見る時にタイトルが面白そうかというのはとても重要だと思います。実際にわたしも映画を見る時にほとんどタイトルで何を見るか決めています。原題と日本語タイトルが大きく違うもので、その日本語タイトルが個人的に素晴らしいなと思ったものを挙げてみます。

•原題 「Intouchables」 日本語タイトル「最強のふたり」Wiki http://ja.wikipedia.org/wiki/最強のふたり
これはフランス映画で、原題のフランス語「Intouchable」は触れてはならない、触れることのできない、という意味です。タイトルは複数形になっていますが、フランス語の辞書で調べてみたらintouchablesは(インドの)不可触民という意味がありました。これは事故で体が麻痺してしまった大富豪を介護することになったスラム出身の黒人青年の話です。

•原題 「The Bucket List」 日本語タイトル「最高の人生の見つけ方」
Wiki http://ja.wikipedia.org/wiki/最高の人生の見つけ方

色々と調べていた中で、面白い賞を見つけました。「筑紫賞(ゴールデンタイトルアワード)」というものです。筑紫賞とは…
(映画の製作・配給・興行4団体で作る「『映画館に行こう!』実行委員会」が5年前に創設。カタカナタイトルのはんらんを見直し、宣伝部が腕を磨き、日本語表現を豊かにする契機にと、ジャーナリストの故筑紫哲也氏が発案した。)朝日新聞から引用。

先ほど紹介した「最強のふたり」もこの筑紫賞を受賞しています。

このように、洋画の日本語タイトルも色々と調べてみると面白いことが分かりますね。みなさんも、洋画で日本語タイトルがとてもいいものになっている作品があったら是非教えてください。

以上、少し脱線してしまいましたが、戸田先生特別講義の感想になります。
今回もこのような貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。

松崎陽香

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通翻のみなさん、こんばんは。
はるか、シェアありがとう!
とても参考になりました。
字数に当てはめようと考えていると、確かに「誤解を与えない」ということを忘れがちになってしまいますね。
タイトルの翻訳も興味深いです。

面白いと思ったタイトルは、ふと思い出したものを挙げると・・・
Sister act ⇒ 天使にラブ・ソングを
千と千尋の神隠し ⇒ Spirited Away
おくりびと ⇒ Departure

有名なものですが、こんなところです。
簡潔に、かつ興味をそそる題にするのはたいへんですが、
映画の人気に関わる大切なことなんですね。
やっぱり翻訳は奥が深い。

今学期もあとわずか。みなさん頑張っていきましょう。
それでは。

2年 笠原綾花

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はるか、あやか
通翻課程の皆さん

シェアありがとう!! 非常に興味深いものでした!!

そういった意味でも、やっぱり的確に訳すための日本語力・日本語表現力ってすごく重要なのだな、と改めて思いました。ただでさえ日本語って曖昧になりやすいので・・。よく法廷では解釈をめぐって争ったりもしていますよね。

誰にとってもわかりやすいものでないと良い訳文にはならないのだと改めて思いました。特に、自己満足はだめですね。通訳、翻訳というのは万人のことを思って訳さねばならないものだと改めて感じました。私もこれから何かを訳すときは、その点を念頭にしたいと思います。

洋画の日本語タイトルもホントに面白いですね。
そのまま訳すこと以上に、いかに原題と訳題が等価であることが大事なのではないかと思いました。

あやかの言うとおり、奥が深い!!笑

皆さんあと少し頑張ってください!そして良き春休みをお過ごしください!

ちなみにアメリカは今度の第3月曜日は、マーティンルーサー(キング牧師)生誕の日で祝日です。
そのあとはオリエンテーションが始まって、いよいよ1週間後、春学期が始まります。春学期も気合いを入れて私も頑張りたいと思います。

ちなみに春学期、私は、国際政治論と心理学を履修予定です。心理学は、脳科学のことまで扱い、かなり面白いと聞いたので取ることにしました。それ以外は、ライティング(私の留学先大学では、留学生は全員これを取らないといけないとのことで。。)とパブリックスピーキング、体育関連を少し取る予定です。

日本にいる皆さん、特に1年生には、春休みを利用して、色んな施設に見学に行かれることを強くお勧めします。
国会や、最高裁判所、皇居など、日本人ならば見て知っておくべき施設がたくさんあります。
英語での説明もあるので、英語の勉強にもなると思います。
私も帰国後また何度も行きたいと思っています。

それでは、また。

3年 山本 みき

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